趣味の部屋

音楽・映画・サッカー・ファッションなどについてのブログです

「YELLOW DANCER」星野源 前奏編

※この記事はレジーさんの「レジーのブログ LDB」(http://blog.livedoor.jp/regista13/)にインスパイアされたひとり対談形式の記事になってます。レジーさんほどの構成・文章力がないことについてはくれぐれもご了承ください。



司会者「いや〜、もう2015年もあと一月足らずで終わりですねぇ。今年も音楽シーンでは色んな動きがありましたし、素晴らしい作品が多数発表されました。ところで先日リリースされた星野源さんの新譜「YELLOW DANCER」は聴いておられますか?」


cozy「随分と乱暴で唐突な始まり方ですね(笑)もちろんフラゲした12月1日からかなりの回数聴いてますよ‼︎断トツで個人的な2015年のベストアルバムです。星野源さんのこれまでのアルバムで考えても最高傑作と言っても過言ではないと思いますね」

司会者「そうですか!確かcozyさんは星野さんの前作「Stranger」をかなり愛聴しておられましたし、2013年の個人的なベストアルバムに選んでおられたと思うんですが…その作品よりお好きだということでしょうか?」

cozy「そうですね、星野源さんがネクストレベル(©川勝正幸さん)に到達した作品という意味において、また2015年にこのようなアルバムが発表されてちゃんとセールス面でも成功を収めたという面でもかなり重要なアルバムではないかと思います。
あと「ブラックミュージックを換骨奪胎した日本製のポップミュージック」というのが今年の邦楽の重要なキーワードになっていたと思うんですが、その観点で2015年を振り返る時に間違いなくこの「YELLOW DANCER」とceroの「Obscure Ride」は絶対に外せないと思うんです。この2作品はわかりやすく言うと小沢健二の「Eclectic」以降の作品の系譜に連なる作品だと思いますね」

Obscure Ride 【通常盤】



司会者「なるほど。確かにこの2作品は2015年を代表する名盤と言っても過言ではないと私も強く感じております。恐らく年末の数多の音楽誌のベスト10や、ネットの音楽好きの方たちが選ぶ年間ベストアルバムのような企画では、どちらの作品も必ずと言っていいほど上位にランクインするでしょうし…
あと「YELLOW DANCER」や「Obscure Ride」とは系統が異なりますが、個人的にはペトロールズの「Renaissance」も今年を代表する素晴らしいアルバムだと思いましたけれどもいかがでしょうか?」

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cozy「そうですね〜、確かに素晴らしいアルバムでしたね。でもまぁ厳密に言うとペトロールズの「Renaissance」はこれまで発表された楽曲の再演・新録集だったりしますから。純粋に2015年のアルバムというにはちょっと違うかな、と。勿論おっしゃっているように、ペトロールズの中心人物であるギター/ヴォーカルの長岡亮介さんのブルーグラスカントリーミュージックというルーツが垣間見える素晴らしい楽曲揃いの作品ですけれども」

司会者「そうですか。しかし今挙げた星野源さんとceroカクバリズム繋がりでいうと元レーベルメイト、ceroのヴォーカル高城晶平さんとキーボードの荒内佑さんは「YELLOW DANCER」の収録曲「桜の森」にコーラスで参加、そして長岡亮介さんは以前から星野源さんのライヴではギタリストを務めておられますし、「YELLOW DANCER」にギターで全14曲中6曲に参加しておられます。この三者がアルバム「YELLOW DANCER」に関わっているというのは何か非常に象徴的ですね」

cozy「確かにその事実はとても興味深いと思います。この「YELLOW DANCER」という作品が2015年に生まれるべくして生まれたアルバムだと言えるというか。何らかの必然性があるとしか思えません‼︎」

司会者「まぁ単にあなたが個人的に琴線に触れたアルバムの当事者同士の接点や楽曲参加があるからと言って、そこまで言ってしまうのはちょっと妄想が過ぎると思いますが(笑)まぁそれだけ熱くなるほどの素晴らしいアルバムだと言うことですね」

cozy「そうですね、そう考えていただいていいと思います。とにかく色んなことを語りたくてウズウズしてます‼︎」

司会者「そうなんですね。ではそろそろ収録曲それぞれの解説や感想をお聞きしようかと思ったんですが、かなり前置きが長くなってしまったので一旦今回の記事はこのへんで終わりたいと思います」

cozy「まさかの展開ですね…じゃあ「YELLOW DANCER」の収録曲の解説や感想などは明日以降にアップするんですか?」

司会者「そうですね。まだちゃんと決めてはいないんですけど、恐らく明日以降2〜3曲ずつ取り上げていく方式になると思いますが」

cozy「なるほど。それだったら1つ提案なんですが…「YELLOW DANCER」の冒頭3曲については語りたいことが沢山ありますので、その3曲については1曲ずつ取り上げる形にしていただきたいのですが」

司会者「了解しました。ではまず明日は1曲目でアルバムのリード曲でもある「時よ」ですね」

岸辺の旅

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黒沢清作品を近場のシネコンで観る日が来ようとは‼︎ やはりカンヌ国際映画祭 ある視点部門 監督賞という影響力は大きいですね…と驚いた後で気づいたんですが、黒沢監督の前作「リアル〜完全なる首長竜の日〜」もシネコンで上映されてましたね(笑)

これまで観た黒沢清作品には様々なテーマがあったように思いますが、個人的に多くの作品に共通しているのは死と生、現実と虚構の曖昧な境界線、廃墟(かつて存在していたものの亡骸)、そして「人と人は完全に分かり合うことは出来ない」といったものだと捉えています。もちろん黒沢清作品にもっと通じている方達からすれば、とても浅くて表面的な理解にとどまっているんだろうと思いますが…

この「岸辺の旅」は、3年前から失踪していた夫が突然帰ってきて「俺、死んだよ」と言うところから始まります。ここでリアリティがないとその後の展開や物語についていけなくなりますが、本当に自然にその世界観に入り込めました。それは黒沢監督の演出、深津絵里さんと浅野忠信さんの素晴らしい演技があったからだと思います。黒沢監督がこの作品で「生きている者と死んでいる者の境界線を曖昧なものとする」ということを映像化しようとしたのだと思いますが、何せ原作を読んでいないのでそれがどのくらい黒沢監督の狙いなのかはわかりません。しかし映像には黒沢作品でしか味わえない独特な雰囲気やある種の緊張感が漂っていることから、黒沢清という映像作家が唯一無二の存在だと言うことができると思います。例えば同じ画面の中に2人もしくは3人の人(厳密に言うと死んでいる人も含まれている)がいる時のそれぞれの位置関係やその捉え方や構図、またあるシーンでの照明、役者の他の作品では見せないような演技(この作品での蒼井優の恐ろしさ!)などが、彼の作品の個性となっているのでしょう。

この「岸辺の旅」という作品の特異なところは、一見様々なジャンルを含んだ作品のように見えて実はそのどれにも属さないという点です。幽霊もの、ホラー、ロードムービー、家族ドラマetc.といった要素はありますが、そのどれにも分類出来ないというか…ジャンルという枠組みから飛び出している作品だと思います。正にワンアンドオンリー黒沢清監督にしか撮れない映画ですね。

役者について。主演の2人の素晴らしさは誰もが認めるところだと思います。深津絵里さんの全ての出演シーンでの驚くべき美しさと凛とした存在感、そして的確な演技。改めて素晴らしい女優だと実感しました。浅野忠信さんも最近はかっちりと決め込んだ演技が多かったように思いますが、この作品では近年あまり見せなかった自然体な感じの演技(若い頃に「FOCUS」や「鮫肌男と桃尻女」で見せたような!)で凄く良かったですね…個人的には浅野さんはこの演技の方が何十倍も魅力的だと思います。他にも先ほど少し触れた蒼井優の恐ろしさや、小松政夫さんや柄本明さんの不思議な存在感などもこの作品を支えていたように感じます。

黒沢清監督の作品はこれまであまり観てきませんでしたが、興味のある旧作が5〜6本ありますので観たいと思いますし、来年公開予定の「クリーピー」(出演者は竹内結子西島秀俊香川照之東出昌大川口春奈)も見逃せませんね‼︎

星野源「Snow Men」

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資生堂 スノービューティーのショートフィルムで二階堂ふみちゃんと星野源くんの再共演を観ることが出来ます。もちろん源くんファンの皆さんは既にご覧になったと思いますが…


先日、このショートフィルムの中で流れている源くんの新曲「Snow Men」が彼のyoutube公式チャンネルでフルバージョンで公開されました。


この「Snow Men」、また源くんのサウンド面での新たなチャレンジを感じました。わかりやすく言うとディアンジェロの「Black Messiah」やケンドリック・ラマーの「To Pimp a Butterfly」で提示された最新のブラック・ミュージックのサウンドや楽器の音色といえば伝わるでしょうか…源くんはどちらも愛聴しているらしいですし、少なからず影響を受けたはずだと思います。
個人的にはギターとベースの音がとろけるような甘い音で堪りません‼︎ドラムはややミュートした感じで、それもまたソウル・ミュージックっぽくて好みです。誰が叩いてるんだろ…大地くんかなぁ。あと歌声も源くん史上一番艶っぽいセクシーだと感じましたので、きっと女性ファンはウットリしちゃうんでしょうね。「Snow Men」、早く音源化されるとイイなぁ…

7〜9月に観た映画 旧作編

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気がついたらもう1月半くらいブログを更新していませんでした…その間あまり映画を観ていなかったんですけど、それでも5〜6本は観ているのでそれらについて書こうと思います。

これまで手元には持っていたのに観ていなかった旧作を2本自宅で観ました。1本はウェス・アンダーソン監督の日本未公開作品「天才マックスの世界」(原題:RUSHMORE)。主演はジェイソン・シュワルツマンフランシス・フォード・コッポラの甥っ子(コッポラの妹のタリア・シャイアの息子。つまりソフィア・コッポラとは従兄妹)ですね。共演はウェス・アンダーソン作品には欠かせない俳優ビル・マーレー‼︎彼らの奇妙な友情と、この2人が惹かれる女性を巻き込んでの奇妙な三角関係を軸に話は進んでゆきます。
ストーリーが進んでいくにつれ独特の雰囲気や凝りに凝った美術やセット、大きな欠陥や変な性格などを抱えながらもどこか憎めない愛すべき登場人物たちを楽しむことが出来ました。ウェス・アンダーソンの映画に所謂まともな人間って一人も出てこないですよね(笑)それでも彼の描く人物は一人としてぞんざいな扱いを受けないのがウェス・アンダーソンの特徴だと思います。彼の愛情が全ての登場人物に注がれているといいますか…この作品でも彼の独特の世界観を十分堪能出来ますので、彼のファンには堪らない作品だと思います。

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もう一本、最近観た旧作があります。大好きなフランソワ・トリュフォー監督の「華氏451」。彼のフィルモグラフィーの中でも恐らく1、2を争う異色の作品。「華氏451」は原作のレイ・ブラッドベリの描くSF世界に興味があったので、トリュフォーとSFというあまり噛み合わなさそうな組み合わせですが観てみました。本を読んだり所有していることが禁じられている近未来の世界で、消防士の主人公(オスカー・ウェルナーが好演)は本を見つけて燃やす仕事(「消防士は昔、火を消す仕事してたらしいな。信じられない」的なギャグは笑えました。英語で消防士はファイアーマンですからね・笑)をしておりそれを誇りに思っていましたが、謎の美女に出会い本に惹かれるようになり、妻(謎の美女と一人二役のジュリー・クリスティが素晴らしい‼︎)の密告により追われる立場になり…というストーリー。
凄く面白い設定ですし、近未来のディストーピア的な世界(消防士は見つけた本をその場で公開処刑みたいに公衆の面前で燃やす、テレビ・マスコミの報道への辛辣な皮肉や批判が込められた寒気がするような描写)が上手く描かれています。さらに音楽はあの巨匠バーナード・ハーマンが素晴らしいスコアを書き下ろしてますので、見所や褒める点はたくさんあるんです。ですが…個人的にはイマイチ乗れなかったですね〜。まず主人公が本に惹かれる動機や心情の変化がきちんと描かれていないように思えたので、彼の変化や行動に無理を感じたというかイマイチ感情移入出来ませんでしたね。あと奥さんの友達の前で本を朗読する場面も「何でそんな馬鹿なことしてわざわざ自分を危険にさらすんだ?」としか思えませんでした。どちらも突拍子もない感じがしたのは残念でした。ただ追われる立場になった主人公についてのある報道や、ラストの○○○○○○(←ネタバレしちゃうので伏せ字にしておきます)人々の中で生活する場面は「果たしてこれはハッピーエンドなのか?」といういう皮肉が込められたシーンになっており好感が持てました。でもやっぱりトリュフォー監督はラブストーリーや人間関係における心の機微を描く方が向いていると思いますし、やっぱりそちらの系統の作品の方が観たいですね…

7月に観た映画 リバイバル作品編

1日に「海街diary」を観に行ってとても満足したんですが…その後もたくさんの映画を映画館と自宅で観ることが出来ました。それらについての感想を少し。まずはリバイバル作品編です。

「やさしい女」&「ピクニック」
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「やさしい女」はロベール・ブレッソン監督&ドミニク・サンダ主演。ブレッソン監督作品初体験でした。ドミニク・サンダベルトルッチ監督の名作「暗殺の森」を観ていたので知っていた(そういえば「暗殺の森」もリバイバルで今は亡き福岡のシネサロン・パヴェリアで観たなぁ…)んですが、凄い美人ですよね‼︎「やさしい女」は内容がかなり感情移入しにくく、ドミニク・サンダも全然やさしい女じゃないし(笑)、相手役の俳優も好きなタイプではありませんでしたが、いくつかの台詞や映像にゾクっとさせられる瞬間があり「これがブレッソン監督のスタイルなのかなぁ…」と思いながらスクリーンを眺めていました。この作品だけでブレッソン作品を判断したくないので、彼の代表作「スリ」や「バルタザールどこへ行く」あたりは観てみたいですね。

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次の週には「ピクニック」を観に行けました。なんと約80年前の映画を映画館のスクリーンで堪能出来る‼︎ という見逃せないチャンスだったので、朝10時からの1日1回上映(しかも1週間限定)でしたが、なんとか都合をつけて観に行きました。しかもこの「ピクニック」という作品はあの偉大な画家ピエール=オギュスト・ルノワールの息子である映画監督ジャン・ルノワール監督の幻の作品と言われているいわくつきの映画で、なんでも未完のまま第二次世界大戦が勃発しドイツ軍がフィルムを破棄→監督が亡命→シネマテーク・フランセーズの創始者がオリジナルネガを救出→監督の意志にそいつつ編集→第二次世界大戦終戦後の1946年にパリで公開されるというまるで映画のストーリーのようなドラマチックな経緯を持つ作品だそうなんです。
ストーリーはある一日のある出来事が起こるまでと、その後日談からなっており全体的にみてモノクロ作品ですが美しさに溢れている印象でした。フィルムに記録されている衣装・自然・演技・感情の機微がそれぞれに美しくて、思いっきりその世界観に浸ることが出来ました。本当にこういう作品を映画館の大きなスクリーンで観れることの幸福感は何の花に例えられましょう(くるりの「ばらの花」より)っていう感じでした。
ジャン・ルノワール監督作品も「大いなる幻影」や「ゲームの法則」といった彼の監督した名作を是非観てみたい‼︎という気持ちにさせられましたね…

2015 SUMMER SALE

今年の夏のセールは例年とは異なり久々に「これを絶対に買わなきゃいけない!」という明確なプランがありました。久々にカジュアルな買い物(大体夏のセールではポロシャツや麻の長袖シャツ、帽子などをつい探してしまうんですが)なしの、ドレス・フォーマルの小物であるタイやドレスシャツ、ポケットチーフのみをターゲットにした買い物が今回のセールでの目当てでした。

合計3回買い物に行き、購入したのがこれらの商品です。
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最初の買い物はUNITED ARROWSで購入した写真左のNickyのネクタイと、写真下のErrico Formicolaのポケットチーフでした。流石にイタリア製なだけあってどちらもとても発色が良く、これまで自分が持っていないタイプのネクタイ&ポケットチーフだったのであまり悩まずに購入しました。ネクタイの方はシルク65%麻35%、ポケットチーフの方は麻60%コットン40%という素材なので風合いも良く、発色の良さと相まって非常に夏らしさを感じさせる商品です。まだ着用してませんがネクタイの方はウールに少しモヘアが入った紺のストライプのスーツに、ポケットチーフの方は少し明るめな紺のジャケットとグレーのパンツに合わせようかと思っています。

次の買い物で購入したのは、麻布テーラーで見つけた絵に描いたようなロンドンストライプのドレスシャツ。BEAMSで見つけたGUY ROVERの麻の長袖シャツ(パステル系のグリーンでとても風合いが良かった。しかも半額!)や、BEAMSSHIPSでセール価格になっていたフレンチラコステのポロシャツ、EDIFICEにあった別注のボーダーのラコステのポロシャツやSAINT JAMESの半袖ボーダーシャツなどに後ろ髪をひかれながら「いや、今回はドレスシャツ買わなきゃいけないから!」と自分を律して購入したものです。これはセール価格ではなく定価で購入したんですが、以前麻布テーラーで購入したドレスシャツが着心地もサイズ感もなかなか良かったのでこのシャツに決めました。定価でも他のセレクトショップのオリジナルドレスシャツよりもずいぶん安いですし…

最後に購入したのはまたまたUNITED ARROWSで気になっていたオリジナルのパステルグリーンのドットタイ。何と買い物に行ったのがモアセール中だったからか、最初に観た時は50%オフだったのが更に10%オフで60%オフでした。素材はシルク70%麻30%…今回の買い物は結果的に麻がキーポイントでしたね。夏に麻のざっくりした素材感はとてもマッチしますから大好きな素材です。ただ麻100%のネクタイになると、アフターケアも難しいですし、長持ちしにくいので麻が何十%か混合している、ぐらいの方が個人的には好みですかねぇ。あと元々自分はコンサバな人間なので、意識しないとネクタイは紺や茶のものばかりになってしまう(実際自分が所有しているネクタイの約3分の2は紺か茶です)ので、あえてこのネクタイはいつもは自分が選ばない明るくて夏らしい爽やかな色合いのものを選びました。このネクタイはライトグレーのスーツ&白シャツに合わせると格好いいでしょうね!勿論紺ジャケット&グレーパンツにも合いそうです。

今回はかなり満足度の高い買い物が出来ました。また約半年後の冬のセールでも良い商品を購入できればイイなぁ…と思っています。


海街diary

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元々原作の大ファンで何度も何度も読み返した思い入れの強い作品なので、大好きな是枝裕和監督が映画化するといっても不安に感じていました。「原作のあの世界観を果たしてちゃんと映像化できるのだろうか?それに明らかにミスキャストと思える人が2〜3人いるけど…」といった感じで。ですから映画が公開されてもしばらくは「早く観たいけど、でも少し観に行くのが怖いなぁ」といった複雑な思いを抱えていました。

しかし昨日実際に映画を観て、自分の心配が杞憂に終わったことがわかりとても嬉しく感じました。是枝監督が原作とそのテーマを踏襲しつつも、是枝作品の特徴である生活の中のふとした瞬間の豊かさや、穏やかな日々の中に起こる様々な出来事、それに対する人間の心の機微、そして美しい風景や自然を写しつつもどこか陰があったり死の匂いがする映像や空気感を存分に堪能できました。これは是枝監督が原作をきちんと咀嚼して自分のものにしている何よりの証拠でしょう。現に原作にないオリジナルのシーンが幾つもありましたが、全く取ってつけたような違和感を感じず、むしろ映画の中で特に印象に残るシーンになっていました。これって凄いことですよね…勿論原作ファンの一人として「あのエピソードは使わないんだ」とか「このエピソードはこうアレンジしちゃったんだね」と感じ残念に思う部分も正直ありましたが、そんなことはほんの些細の事に思えるくらい素敵な作品でした。

主演女優4人について。まず長女役の綾瀬はるかさん。正直キャストを知って個人的に一番ミスキャストに感じたのは彼女でした。原作の幸は強さやしっかりとした面が表に出ており、脆さや弱さを一人で抱え込み決して表には出さない所謂ザ・長女!っていう感じで描かれています。ですから是枝監督の前作「そして父になる」で素晴らしい演技を披露していた尾野真千子さんや真木よう子さんのようなイメージを幸に抱いていました。その二人ではなく、全くイメージと違う綾瀬はるかが幸を演じる?大丈夫なのか?と思ったんですが…いや〜、参りました。是枝監督が彼女を幸にキャスティングしたのは本当に見る目があったとしか思えません。幸の複雑な境遇(姉というより母親代わりとしての立ち振る舞い、不倫した父への複雑な感情を抱きつつも自分も同じような状況にいることなど)を細やかな動作や台詞で見事に演じていたと思います。綾瀬さんの背筋が伸びた凛とした姿は、まるで古き良き日本映画の中の女優のような雰囲気を醸し出しておりとても素敵に感じました。
次女役の長澤まさみさん。原作ファンとしては一番納得がいくキャスティングでしたので何の心配もしていませんでしたが、予想以上のハマり役でしたね。長女とは対称的な奔放さを持ちつつ実は温かさも人一倍持ち合わせており、姉や妹のすずのことを慮っており気遣う一面もあるという部分をさりげなく演じていたと感じました。長澤まさみ、本当にいい女優になりましたね…
三女役の夏帆さん。原作の千佳ちゃんとは見た目も雰囲気も全然違いますが、兄弟間での立ち位置が三女っぽかったので「あぁ、ハマってるなぁ…」と感じました。なんとなく家族内のバランスを保って和やかな空気感にしているのは彼女の功績ではないか、と思わせる言動をさりげなく演じていたと思います。あと夏帆さんは食べるシーンでいっぱい口の中に頬張っていたのが可愛かったですね。
四女の広瀬すずちゃん。陳腐な表現になりますが本当にキラキラしていました!若い女優には「その時期にしかない輝き」というものがあると思いますが、まさにこの映画の広瀬すずちゃんはその瞬間がフィルムに記録されているのではないでしょうか。ちょうど「花とアリス」での蒼井優さんや、三女役の夏帆さんが「天然コケッコー」でそうであったように。そして注目したいのはあの若さでキャリアの長い女優・俳優と同じ画面に収まっているのに、その存在感で全くひけをとらないという点です。全く物怖じしておらず、将来に期待できる若手の女優がまた一人増えたと感じました。

他のキャストも素晴らしかったです。特に印象的だったのは樹木希林さん、加瀬亮さん、大竹しのぶさん、リリー・フランキーさんです。それぞれが佇まいと存在感で映画の世界観を形成する助けになっていたと思います。勿論風吹ジュンさんや前田旺志郎くん( 「奇跡」でも際立って素晴らしい演技でしたね)、堤真一さんも素晴らしい演技でした。あっ、レキシの池ちゃんも良かったですよ!

あと最後に述べておきたいのは四姉妹が住むあの家と鎌倉の街並み・自然の素晴らしさです。是枝監督がインタビューで「この家に出会って映画が動き出した」と言っておられましたが、まさに原作のイメージとぴったりのお家を見つけて撮影に使う事ができたのはこの作品にとって本当に大切なポイントだったはずです。物語に説得力を与えるというか、世界観がより立体的になるというか…それは鎌倉の街並みや自然も寄与している点だと思いますが。海、山、木々、桜のトンネル、江ノ電、坂道、蝉の鳴き声、そして何と言っても香田家の庭の梅の木!全て素敵で、それぞれがこの映画の魅力の一部となっていました。

この映画を観ている最中に「あぁ、この映画の世界にもっと浸っていたい。この映画が終わって欲しくない」と何度も思ったので、個人的にはこの作品が愛おしく大切な作品になったんだろうと思います。Blu-rayの発売が待ち遠しくて堪りません‼︎